Abstract
本論は主として、中港台三地域において80年代以降、異性装の物語を題材としてジェンダー問題を省察する映画について論じる。三地域の映画は製作環境と文化発展の相違により、各々がその傾向性を持つのであるが、本論は、地域性をもって三地域の映画を区分して論じたり、三地域の映画をきっちりと分け隔てることはせず、その中にある連関的発展を取り逃げがさぬようにつとめた。本論はこの異性装というテーマを三つのカテゴリー – (一)物語のプロット (二)演技の形式 (三)欲望の展開 – の中に置いて論じる。その目的は、異なる製作環境および文化的発展というものが、一地域の映画をこのうちの一カテゴリーにおいてよりよく発展させ得るであろうことをさらに有効に指し示すためである、そしてこのような議論の方法がさらに多くの比較の思考を誘発することを望む。この三カテゴリーは、伝統に発するのと同時にまた伝統と異なってもいるが、私は、本論における検討を決して映画のみに限らず、異性装というものを伝統的中国文化にまで遡らせることにより、そこから現代的処理方法とは異なる部分を引き出すつもりである。
Original language | Japanese |
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Title of host publication | アジア新世紀3: アイデンティティ: 解体と再構成 |
Publisher | 岩波書店 |
Pages | 219-231 |
Number of pages | 13 |
ISBN (Print) | 4000268333 |
Publication status | Published - 1 Jan 2002 |