Abstract
近年、「日本旋風」と言われるほど、アジアの多くの地域で日本のメディア商品が人気を得ている。『東京ラブストーリー』や『ロングバケーション』といった驚異的な人気を誇るドラマの放映以来、日本のアイドルドラマ(偶像劇)は、香港、台湾、韓国、中国、シンガポール、タイとアジアを席巻している。日本のアイドルドラマのトランスナショナルな人気は、ローカルなものへの影響、そしてアジアの文化の「日本化」と結び付けられてしまっているが、それらは説得力に欠けている。本稿では日本のドラマのトランスナショナルな人気の理由を考察するにあたり、伝統的な「文化帝国主義」の諸理論の系譜にそわずに、視聴者研究によって、ローカルな視聴者が、こうした「グローバル」なドラマを「ローカル」な日常へと「翻訳」する方法を洞察したい。日本のアイドルドラマをローカルに読むことで、トランスカルチュラルな想像力の創造にともなわれた空想と現実の声を差し挟むことを目指している。さらには、一枚岩的で単一文化的な実体としての「ローカルな視聴者」という観念に疑問を投じることを試みる。香港の香港人と日本人居住者の視聴者に見る「がんばる」の読みを比較することで、アジア地域内でポピュラーな文化生産物の流れが強まっているときの視聴者と視聴者研究の議論を深化させたいと思う。
Original language | Japanese |
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Title of host publication | グローバル・プリズム : 〈アジアン・ドリーム〉としての日本のテレビドラマ |
Pages | 127-150 |
Number of pages | 24 |
Publication status | Published - 25 Aug 2003 |